活丼

丼の活動

秘密という名で評判のフレーバーよ

秘すれば花ね本当噂通りで堪んない

♩公然の秘密/椎名林檎

 

こんにちはこんばんは

高校生のころってなんであんなに馬鹿なんでしょうか

どんです。

 


前回までのあらすじ☆

ボランティア先で見つけたイケメンと連絡先を交換してしまいました!おわり!

 


連絡先を.......こんなにもあっさりと手に入れてしまっていいのだろうか.......。

 


連絡先交換が終わったらもう特に話すこともなく気まずいばかりなので

「あ、じゃあ、お疲れ様でした…」

と去ろうとした私の手首をきゅっと持って

「一応、これは内緒ね?」

と離すまで、その間3秒ほど、私は時が止まっていた。

 


その後の5千円の薄給を受け取る時も、家に帰ってからもずっと「内緒」という甘い響きが頭にこびりついて離れず、ないしょ.......いしょ.......ぃしょ.......しょ.......とスキあらばエコーした。

 


そんな浮かれ具合に反比例して、自分から連絡するのはあまりにも勇気がいったのでイケメガ(仮)の連絡先は放置していた。

 


しかし、ついにある日イケメガから連絡が来た!

『この間はお疲れさま、お祭り手伝ってくれてありがとう!もしよかったら、今度ご飯でも食べに行きましょう』

 

 

 

返事はすぐにしちゃダメだって誰かに聞いたことあるのでわざと1時間くらい放置して、謎のそんなに気にかけてませんよアピールをしつつ、スマートに、こなれてる感じで、でも高校生らしさは失わないで…とやたら書いたり消したりしながら返事をした覚えがある。

 

 

 

イケメガとの食事はココスだった。

東京に悪いように染まってしまったからココスのことが今でこそしょぼく感じるものの、当時の私からしたら包み焼きハンバーグはご馳走で(今でも美味しいと思うと思う)、目の前にいる、年上の、イケメンの、黒髪の、メガネの、黒縁メガネ(激アツ)を前にして、彼のお金でハンバーグを食べているという実感が、食事を世界一美味しくさせた。

 


憧れで、年上で(重要)、観賞用だと思っていた存在に相手にされる事はなによりも私を満たしたし、今の私は他の女子高生とはひと味違うかんね!くらいに思っていた。(マセガキ地獄に落ちてくれ)

更にイケメガが「俺実は趣味でバンドやっててね、今度のライブ、パス出すからよかったら来てよ。迎えに行くし」

だなんて言うもんだから、当時の私の自意識はあっという間にライジングして銀河の果てに到達した。

 


こんなキラッキラな人、なんで私なんかを相手してくれるんだろう?

おもしれー女とか思われてるのかな?

女子高生だからかな?

そんな疑問を抱きながらも、彼への好意は着実に膨らんでいった。

 

 

ライブ当日、彼は車体の低い車で現れた。

ちょっと意外。かわいい軽自動車に乗っているイメージだった私は少し引きかけたけど、できるだけ可愛らしい顔で助手席に乗り込んだ。

 


会場につき、彼が「ゲスト1枚頼んでます」と受付に声をかけた時、胸が壊れるかと思った。

「ゲスト」という響きはどんな特別扱いよりも特別で、しかも彼がゲストを出したのは私だけ!(だったのかなあ)当時ライブハウスなんて行ったことがなかったからちょこっと悪いことをしているような背徳感もあり、関係者で〜す♪みたいな顔をしながら会場に入った。

 


むせ返るくらいスモークとタバコの煙が混じりあっていて、彼のビジュアル的にフリッパーズ・ギター的なものを想像していた私は少しおじけづいた。しかも客は相当少なかった。

彼のバンドがどんなものだったかというと、コミックバンドとパンクロックを合わせたような感じの、結構暴れるバンドだった。

 


それでも、十数人しかいないライブハウスで吠えている彼が何よりかっこよく思えた。

ステージに立ってる側の人間に特別扱いを受けていると思うと、非常に浮き足立った。

けど、私は関係者なので〜〜と思ってわざと後ろで、控えめに拳を上げながら、所謂「後方彼氏ヅラ(彼女)」というやつになっていた。

今思うと痛々しく、嘆かわしい。一周回って最早可愛らしいか。

 

 

ライブの翌日、また約束をして会うことになった。特にどこで会うでもなく、私の家の近所の駐車場に車を止めて立ち話をしていた。

時期は10月で、そろそろ外で長時間いるのも辛い季節に差し掛かっており、私は震えながら話していた、それを察したか、何を思ったか彼は

「寒いよね、家の中でお話する?」

と持ちかけてきた。

当時一人暮らしをしていた私は、それを断る理由などなく彼をすんなり家に上げた。

 

 

さらに後半へーー続く

どんより。