活丼

丼の活動

勇気がないのは時代のせいにしてしまえばいい

いつまでたっても想いは口に出せないまま

♩平行線/さユり

 

こんにちはこんばんは

このテンプレ、記事の雰囲気と関係なくミスマッチでなんかモヤモヤすることに気づいた、でも続けます。

どんです。

 

2年前くらいに書いて書きかけの記事が実は一つあるのですが、ルポルタージュという漫画の作者さんのインタビュー記事を読んでいたらそれを唐突にブラッシュアップしたくなったのでします。

2年前と今じゃ、どんな違う言葉が出てくるのだろう、か。

 

 

この時期になるといつも、はんぺんのことを思い出す。はんぺん、お前は。

 

はんぺんは、私の中学の同級生の男の子

で、私の人生史上一番たくさん告白した男の子である。

はんぺんの由来は、肌が白いから、以上。

じゃあ大福でもいいじゃないかって

いや大福ほど丸くはなくて、むしろ貧相な身体をしていた、背丈もそんなに大きくなくて、目がぎょろっと大きくて、ガリガリなかんじ、少し出っ歯で強いて似ている人をあげるならばはんにゃの金田。

卓球部に所属していてスクールカーストは恐らく下の方、いつもヲタクとつるんでラノベを読んだりアニメの話をしたりしていた。

マリカとストリートファイターが強くて、学校の成績は中の上あたりだった気がする。

多分、どちらかというとインキャと呼ばれるタイプの人間だった。

お母さんがとても過保護で彼のことをちゃん付けで呼ぶ、服は全てお母さんの買ったものを来ていて、丁寧に飼育されているペットを見ているような、綺麗に手入れされている薔薇を見ているような、そんな感じの男の子。

 

彼とは中学3年で同じクラスになって

なんで好きになってしまったのか未だにおぼえていない。

クラスが編成されて少しだけ落ち着いてきた5月ごろ、私ははんぺんの隣の席になった。

授業中にノートの切れ端でコソコソやり取りする手紙交換が楽しくてたのしくて

無駄に先生がズボンをあげた回数を数えて時間をつぶしたりするよりもずっと充実した時間だった。そんな私の成績は下の中あたりを彷徨っていた。

 

いつもの授業中、唐突に「好きな人いるの?」と手紙がきて心臓が跳ね上がった。

そりゃ勿論あなたですけど

そんなの言えるわけないですけれど。

「当ててみてーw」

「んー、◯◯?(クラスの男子)」

「違うよ」

「じゃあ◯◯かな(クラスの男子)」

なんで同じクラスのやつ前提なんだ。

 

こういうやりとりがシラミ潰しにクラスの男子全員分行われて、とうとう残りが彼だけになった。

 

「終わったよ、ほんとはいないの?」

「→」

この矢印が当時の私にしてみたら精一杯の告白であった、これが1回目。

しかしはんぺんは鈍感なのか気づかないふりをしたいのか、自分の右隣をふっと見て

「なんだ!あいつか〜意外」

と返したのだった。

 

ちげえよ!すごいな!お前な!鈍感な!

いや、はんぺんだから。

と、ついに声に出した。

はんぺんからはなにも返してこなかった。

 

授業の終わりを知らせるチャイムが鳴って

なんだかスッキリしたような絶望したような気持ちになった。

耐えきれず同じクラスの友人にそのことを伝えて「じゃあ私が答え聞いてくる!」とのことだったので無関係ながら巻き込むことにした。

 

数分後

「友達でいようだって!」

それくらいお前ちゃんと…なぁ!

今の私だったらきっと傷つきながらもはんぺんのことなんてその時点で切っていたはず、

だけれども群馬の片田舎、東京のように目移りするものもない、毎日学校行って部活して、土日は友達の家でニコニコを見て、地元のローカルスーパーのたこ焼きを食べながらだべる、近くの書店で立ち読み。しなびたバッティングセンターで子供もできる的なパチンコを打つ。

 

そんな生活の中で恋愛は簡単に私の脳内を支配してしまったのであった!!(ふぁわ〜〜お♡)(絶望)

 

諦めきれずに私は二度目の告白をいつかしようと目論む。6月、7月、8月。

受験生の夏休みがやってきた。

はんぺん!プールにいくわよ!

夏は夏らしく、夏じみたことをしないといけないの!

とどこかの世界を大いに盛り上げる団長のような発言をして、男女を交えて4人で市民プールに出向いた。

結論から言うと失敗に終わった、結局男女で分かれてしまって、特になんのイベントも起こらず、ほとんど女友達とのプールのような感じで幕を閉じた。

めげなかった私は更にお祭りに行くことを試みた、私とはんぺん以外の男女メンバーは入れ替えで4人でお祭りに行った。

 

浴衣姿でさぞやはんぺんもドキドキして恋に落ちてしまうだろうという、なんとも安直な考えのもと実行された実に中学生らしい、可愛い作戦であった。

せっかく浴衣なんだからみんなでプリクラでも撮ろうという話になり

はじめは4人で、次は男女に分かれて(今思えばこの時点からはんぺんは男子なのでプリクラに飽きていたんじゃないか)

その次は友達の計らいではんぺんとプリクラを撮った。あれいつ捨てたんだっけなー。

落書きタイムの時、変なスタンプを連打し続けるはんぺんを横目で見ながら、意を決して二度目の告白をした

 

 

「今でもさ、好きだよはんぺんのこと」

 

 

やはり彼からは返事はなかった。

いけるやろ!からの暖簾に腕押しはまたしても私のメンタルを崩壊させた。

今なら殴るぞまじで。そして例に漏れず、友達伝いに

「友達でいようだって!」

と伝えられて試合終了である。

おいタコ殴りにしたろか。それでもそれでもまだ諦めきれなかった私はどうにかしてはんぺんと付き合える方法はないのかと模索し続けるターンに入った。

 

はんぺんのことが好きな話をした時、「あいつ!?なんで!?かっこよくねーじゃん!笑笑」と爆笑しながらも応援してくれる女の子たちが当時何人かいた(はんぺんの話をした時大体の人間にこのフレーズをいわれた)

その中でも特に背中を押してくれた2人が

あーちゃん(仮名)とまーちゃん(仮名)である、2人ともテニス部で、あーちゃんはおかっぱ系のボブが似合うサバサバしたタイプで、まーちゃんはさらっとしたスタイルに天パの女の子であった。

 

あーちゃんは2人で帰るのをサポートして、3人で帰ろうと協力して、いつもはんぺんあーちゃん私の3人で帰ることが多かった。

まーちゃんはとにかくおせおせで特に直接的なアクションは起こさないものの、家でいつもいろんな作戦の話を聞いてくれて、いけるよいける!とポジティブに応援してくれていた。

2人とも、わたしがしょぼしょぼすると背中を叩いてくれるような存在だった。

 

話は戻ってメンタル崩壊の8月を受験生のわたしはどう過ごしたかというと

マリカであった。

毎日毎日毎日マリカをした、受験勉強そっちのけでマリカをした。

マリカしかすることがなかったともいえる。

マリカをしていたら周りが暗くなっていて

マリカをしていたらなにも考えなくて済んだ。

まあ、あとは部活…。部活のことは今は置いておく。

部活をしていない時のメンタルの保ち方は間違いなくマリカということ。

 

季節は移って9月、10月、11月

その頃のわたしは部活も引退してクラスの比較的仲のいいヲタクたちと放課後毎日のように決まったやつの家に集い、塾の合間にマリカとスト2をしていた。

その中にははんぺんもいた。

私はそのグループ内で最弱で、マリカも勝てなければスト2もコマンド入力が下手くそすぎてボコボコにされていた。

それでもはんぺんがその場にいるというだけで価値があったし、楽しい時間だった。

 

いい加減、また告白しなければと躍起に…多分半分やけになっていた私はきっとパワータイプだろう。五右衛門的な。ドンキーコング的な。

頭を使うよりも何度も力で押したらなんとかなると思っているところは今でも大いにあるけれど、当時はそれが特に顕著で、それしか頭にない状態になっていたのだと思う。

 

12月頃、またしても男女数人で、今度は勉強会をしようという話になった。

はんぺんの家でしようという話でまとまり、初めてはんぺんハウスに足を踏み入れることとなった。能天気な私は

「もし付き合ったらお義母さんとかいうのかな、えっえっ、どうしよう、息子を溺愛してるだろうからな…白いブリーフとか履かせてそうだしな…」とかありもしない未来を想像してドキドキしていた。

事が始まれば実際は勉強なんてせず、みんなで昼ごはんを作ってケチャップが薄すぎて世界一まずいナポリタンを完成させたり、かくれんぼをしたりして遊んでいた。

その最中、女の子が私に「今だよ!今!こくっちゃいな!」と耳打ちしてきた。

それに後押しされた私ははんぺんを別室に呼び出してもう一度告白をした。

 

「好きです、付き合ってください」

 

多分その時はちゃんと付き合ってくれという気持ちも伝えていた気がする。

でもはんぺんはまたしてもなにも答えてはくれなかった。

それから私は友達伝いに「友達でいようだって」と伝えられる事もなく、卒業までの時間を「友達」として過ごした。

 

12月、1月、2月

いよいよ受験本番が近づいてきて、私ははんぺんどころではなくなりつつあった、同時に塾のメンツがAKBを推しまくっていて、まゆゆにハマっていた(何故)

どんどん季節は過ぎていくし、風も冷たくなっているのにはんぺんのことだけがどうにも時間の経過と同時に受け流せはしなくて、

いつか返事をくれることを待っていた。

 

受験の前の日だかなんだか、もう忘れかけているがはんぺんが私の好きなお菓子を覚えていたのか偶然か、一つくれた。一箱ではない、一つ。

メルティーキッスいちご味。

私はそれを食べずにお守りとしてずっと握りしめて持ち歩いていた。

筆記の時も面接の時も、始める前にそれを握りしめて、それは、どんなにすごい神社のお守りよりも効果があるように思えた。

そんなことをしていたからあっという間に袋の中でドロドロに溶けているのがわかったが、御構い無しに握った。

 

受験が終わって、いよいよ卒業式が近づいてきた。結論、私は第二志望に合格していた。

県内の商業高校、春から一人暮らしが決定した。

進路が決まっても彼への気持ちは捨てきれず、バレンタインもあげてしまった。

その時は流石にもう告白しなかったけれど、なんだか自分が惨めったらしいような気持ちになってオンオンと泣きながらまーちゃんの家で泣いていた。

この一年、なにも結果は出せなかったけれど、高校生になったら付き合おうとか言ってくれるんだろうかなんて、まだ希望を捨てきれていない私がいて、卒業式の日、意を決して改めて聞いた。

「私の告白の返事ください」

 

「いや、友達で……」と

すごくばつがわるそうな顔をしながらやっとはんぺんの言葉で返事がかけた、てか振られてるけど。 笑

私は、こういう時に人間性が出ると思っている。切る優しさを持たなければいけない時、人は嫌われたくないがあまりに自分の保身に走りがちだ、そういう時に使われる常套句として

「お前にはもっといい人いるよ」

なのだが、それをそのまんま言ってきた。

顔から、自分が傷つかないようにしているのが伝わってきた。

思えば今までだって、真っ向から向けられた好意に対して他人の口を使って言葉を伝えてきた事だって十分すぎるくらいの不誠実なのに、私は好きすぎてそれに気づかなかった。

「恋愛 うまく 行く方法」とか雑な検索をYahoo!でし続けた。

そうか、そうか、つまり君は、そういうやつなんだな。

 

その日はまーちゃんちで大泣きしながらカレーをご馳走になった。

振られてスッキリしたような気持ちとそれでもまだ諦められない執念とでごちゃ混ぜになりながらも帰路についた。

 

卒業から数日、何人かの友達と私の家で集まった。傷ついてはいたけれど、どうにかして切り替えなければという気持ちもあって、とにかく遊ぶ事が最善策だと考えた。

知ってか知らぬか、友人の1人がはんぺんも呼ばないかと提案してきた。

私ははんぺんの連絡先を知っていたから、覚えたてのフリック入力ではんぺんのことを呼び出した。そう私たちは友達なんだからなにもおかしいことはない。

「友達」だから遊ぶくらいするでしょう。と

 

はんぺんもはんぺんでアッサリと私の家に来た。告白しては友達に戻らされてきたので、もうなんだか慣れっこな気分だった。

家が広いので、かくれんぼしようという話になり(今思うと高校生にもなる人たちがかくれんぼって…?)よーし隠れるぞとしていたところに女の子が「どん!これ…」と携帯の画面を見せてきた。てかそれはんぺんの携帯じゃとつっこみかけたが、それの前に目の前がよくわからなくなってチカチカした。

そこには

 

「これからなんて呼ぼうかな♡♡♡はんぺんじゃなくて、◯◯かな♡」

「じゃあおれもあーちゃんじゃなくて、◯◯かな♡♡♡」

 

画面いっぱいにこれでもかとハートが貼り付けられたメールが広がっていた

なにも理解はできないまま、視界だけがゆっくり暗くなっていった。

ショックすぎて人生初ブラックアウトをこんなところで経験するなんて、青い、阿呆らしい。

 

それから私はなにもできなくなってしまって、友達は全員家に帰して、一人で発狂しそうになる自分を抑えて声にならないような声を出して部屋でうごうごしていた。

本当に悲しい時、涙は出ない。ってその時に知った。今でもその時の感情は忘れないからいつか芝居で使ってやろうと思っている。

 

友達から話を聞けば四月からずっとあーちゃんのことが好きだったらしい。

私と一緒に帰るのも、あーちゃんにアピールしたいから、私を振り続けたのもあーちゃんが好きだから。卒業して告白したけれど、あーちゃんはいい子なので私がいるからと断ったらしい、けれどもじつは彼もパワータイプで、何度も食い下がっていき、根負けしてあーちゃんは付き合ったそうな。

こんな漫画みたいなことあるかと。

はじめから負けてたんじゃないかと。

勝ちも負けもないけど、はじめから愛なんて向けられていなかってんだと。

 

それからすぐにあーちゃんと大揉めして人生で初めての絶縁をきめた。

2人は7ヶ月くらいで別れたらしい。

 

成人式で久しぶりに会ったあーちゃんとは、どこかお互いに気まずい挨拶をして

「げ、げんき?」

「うん…」

と、一ミリも中身のない会話をした。

 

はんぺんはと言えば、多分今は本当の意味での知り合いレベルの友達に戻れたような気がする。成人式の日の夜、いつも集まっていた奴の家にいつものメンツで再び集まってオールした。はんぺんはやっぱりはんぺんで、どこか自分が傷つかないように振る舞うやつなんだなと思うような出で立ちであった。

 

地元から離れていなかったら、もしかしたら今でもはんぺんのことを好きだったのだろうか

いろんな価値観に触れて、人と出会って、そうしなかったら今でもはんぺんしかいなかったんじゃないか、と怖くなる時がある。

 

桜がザザと舞い散る中であんなに最高なシチュエーションだったのに、思い切り歯切れ悪く振ったあなたのことを今でも思い出す時があります。

仕事はまだ変わってないのかな、元気ですか?彼女はできた?童貞卒業した?

SNS知ってるから何となくはわかるんだけど

もうそこまで興味ないから見ないんだ

毎年思い出していたはずが、歳を重ねるごとに思い出すのが難しくなる時があるよ

思い出そうとしないと思い出せなくなるよ

結果はともかく一生懸命だったことがそうやって記憶から薄れていくのが怖いよ

それでもいいやと思えるくらいに、見栄っ張りでなく楽しい今よ。

まだメルティーキッスは食べますか、お母さんの選んだ服ですか、まだあなたはあなたのまま良くも悪くも変わらないものなのですか。

きっと話も噛み合わなくなって、宇宙人みたいに思える日が来るのかな、て会話なんて成人式以来してないけど。

きっとあなたの人生の中で取るに足らない

しつこい私のことを、何年かに一度思い出していたらいいですね。

おでんのはんぺんを食べても思い出さなくなっていくでしょう。お互いに、元気で過ごしましょう。

 

どんより

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